特集 未来語りのダイアローグとオープンダイアローグ─看護研究における「開かれた対話」
未来語りのダイアローグが生み出す支援者とチームの力─学びを通して実践の可能性を考える
近澤 範子
1
1兵庫県立大学
pp.139-146
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201492
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はじめに
オープンダイアローグ(以下,OD)への関心が近年急速に高まるなかで,未来語りのダイアローグ(Anticipation Dialogues;以下,AD)は多機関・多職種が連携して行なう対人支援活動をうまく展開する上での有効な方法として注目され,フィンランドでの研修や講師を招いてのさまざまな研修会の開催など,学ぶ機会が増えている。
筆者はこのたび,「ひょうごオープンダイアローグを学ぶ会(以下,学ぶ会)」の一員として,「『未来語りのダイアローグ』ワークショップ」と「ダイアローグの可能性─竹端さんと共に考え合う一日」の2つの研修会に相次いで参加する機会を得た。前者ではADの開発者であるT.E. Arnkil氏(前フィンランド国立健康・福祉研究所教授)の講演とそれに続くセミナーにおいて,白木孝二氏(Nagoya Connect & Share代表,臨床心理士)のファシリテートにより相互理解と連携が生まれるADの展開を目の当たりにして感銘を受けた。折しも自身の事例検討会の実践上,困難なチームに遭遇し,打開策を思案していたため大きな示唆を得て,ADのアプローチを試みることとなり,その実践を通して学びを深めることができた。さらに,後者においては,ファシリテーター竹端寛氏(兵庫県立大学環境人間学部,当時は山梨学院大学法学部)による参加者とのダイアローグと自らの内なる対話が響き合う中で,新たな気づきを得た。
本稿では,この一連の学びを踏まえて,ADによって支援者とチームの力が生み出される現象とその意義,および実践の可能性について考察したい。
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