連載 専門看護師CNSとは何か・5
CASE 5 外来化学療法室の喧騒のなかの静謐/CNSへのインタビュー〜現象学的分析
春木 ひかる
1
,
井部 俊子
,
大生 定義
2
,
村上 靖彦
3
1東京大学医学部附属病院
2特定医療法人新生病院
3大阪大学大学院人間科学研究科
pp.162-172
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201498
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大学病院の外来化学療法室は朝10時をまわると繁忙時間帯となる。すべてのベッドに患者が横たわり,ベッドのカーテンが引かれ視界が狭くなる。抗がん剤曝露対策のために防護服を着用した看護師が,点滴静脈注射をするための血管確保を開始する。あちらこちらのベッドから点滴アラームが頻繁に鳴り続け,騒々しさをかき立てる。看護師たちはアラームの場所はどこかと耳をそばだて眉間にしわを寄せて無言のまま足早に動きまわる。
1日に外来で治療を受ける約50人の患者のレジメンを終了するために,まるで戦場のような緊張とあわただしさのなかで,がん看護CNSは,患者Aの「治療後の嘔気のつらさ」を想う。そして患者と向き合い,共感し,医師への不信感を解き,薬剤師と話し合い,「嘔気の対処」法を確認して,療法室から送り出す。そこにはがん看護CNSの一貫してピンと張った患者への冷静な視線がある。 (井部俊子)
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