特集 事例研究をどううみだすか─事例がもたらす知の可能性
関連領域から
ナラティブ・ベイスト・メディスンと事例研究
斎藤 清二
1
1立命館大学総合心理学部
キーワード:
ナラティブ
,
事例研究
,
質的研究
,
実践科学
,
転移可能性
Keyword:
ナラティブ
,
事例研究
,
質的研究
,
実践科学
,
転移可能性
pp.461-467
発行日 2017年8月15日
Published Date 2017/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201418
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事例がセミナーの中で非公式に紹介されたにせよ,症例検討会の中でいつもの形で発表されたにせよ,どんな場合であっても,臨床科学のデータを発表する方法は私にとっておなじみのものだった。その内容は必然的に新しいもの─報告された症状と観察され測定された所見から組み上げられたパズル─だったが,患者の病気についての記述や,医師による診断と治療についてのそれは,私が専門とするところだった。それは物語,つまり,医師と患者という個別の人間達の行動や動機に関する物語的記述であり,彼らはそれぞれの形で状況に不満を抱いたり,その努力が報いられたり,運命に悩まされたりしている。物語を病院内で見いだすことになるとは,私には思いもよらなかった。医学は科学ではないのか?
(Hunter, 1991/斎藤,岸本監訳,2001)
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