特集 補完代替医療のこれから
医療人類学から見た補完代替医療の世界―ナラティブ・ベイスト・メディスンへの期待
辻内 琢也
1
,
中上 綾子
2
,
谷口 礼
2
1早稲田大学人間科学学術院 健康・生命医科学研究領域
2早稲田大学人間科学研究科
キーワード:
ナラティブ・ベイスト・メディスン
,
補完代替医療
,
医療人類学
,
語り
Keyword:
ナラティブ・ベイスト・メディスン
,
補完代替医療
,
医療人類学
,
語り
pp.919-923
発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101571
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
補完代替医療(Complementary and Alternative Medicine:CAM)が脚光を浴びていると言う.ではいったい“今・なぜ”CAMが注目されているのか? CAMに何が期待されているのか? 実際にCAMはどのように利用されているのか? はたしてCAMは信頼に値する医療なのか?
筆者はかつて内科医・心療内科医として,東洋医学や各種心理療法を取り入れた臨床を行っていた.医学系大学院の博士論文として,糖尿病治療に対する気功健康法のエビデンスを立証する研究1)を行ったほど,CAMに魅力を感じていたのだ.しかし,CAMへの興味関心が高じて,世界中の様々な医療を研究してみたいという動機から,臨床を離れ医療人類学(medical anthropology)の道を歩み始めたところ,そこには“補完”や“代替”とは呼べないような,多彩な医療の世界が広がっていた.医師として病院やクリニックにいては決して見られないようなフィールドに遭遇したのである.
本稿では,語り=ナラティブを重要視する医療人類学の立場から見た,CAMの世界を紹介していきたい.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.