特集 質的統合法の現在─グラウンデッド・セオリーとの比較を中心に考える
質的統合法(KJ法)の看護研究論文への活用
質的統合法(KJ法)の博士論文への活用の実際とその有用性
高橋 良幸
1
1千葉大学大学院看護学研究科
キーワード:
W型問題解決モデル
,
累積KJ法
,
本質追求
Keyword:
W型問題解決モデル
,
累積KJ法
,
本質追求
pp.241-246
発行日 2017年6月15日
Published Date 2017/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201377
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私と質的統合法(KJ法)
私が質的統合法(KJ法)に出会ったのは,修士課程に在籍しているときである。当時は,質的分析方法の1つとして学び親しんだ記憶がある。その後,質的統合法(KJ法)を幾度か学ぶうちに,質的データを分析する手法としてだけではなく,研究プロセス全般で研究者の意思決定に活用できることに関心が向いた。そして,私は博士論文研究において,後に説明するKJ法の問題解決手法や累積KJ法を活用するに至ったのである。
博士論文研究のプロセスを説明する前に,筆者が活用した質的統合法(KJ法)とは何であるのかを述べる必要があると思われる。そこで少し項を割いて,まずは,筆者が博士論文の執筆の際に参照したW型問題解決モデルについて説明したいと思う。本稿では,川喜田の著書(1990)に沿って論述するので,書籍通りKJ法として記述するが,機能名称として用いられている質的統合法とおよそ同意であるので,読者の皆様には混乱しないように読み進めていただきたい。また,W型問題解決モデルについて山浦晴男氏は看護研究者にわかりやすく説明しているので,それらも参考にしていただくとよい(山浦,2012)。
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