特集 質的統合法の現在─グラウンデッド・セオリーとの比較を中心に考える
質的統合法(KJ法)の看護研究論文への活用
質的統合法(KJ法)の看護研究への活用の発展性
小林 裕美
1
1日本赤十字九州国際看護大学
キーワード:
質的統合法
,
KJ法
,
在宅看護
,
予期悲嘆尺度
,
混合研究法
Keyword:
質的統合法
,
KJ法
,
在宅看護
,
予期悲嘆尺度
,
混合研究法
pp.234-240
発行日 2017年6月15日
Published Date 2017/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201376
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はじめに
筆者の質的統合法(KJ法)との出会いは,いまから10年ほど前,山浦晴男氏を講師とする研修に参加したときのことである。KJ法を学ぶための研修ではなく,1週間以上の比較的ハードな研修に質的統合法(KJ法)が組み込まれていたのである。その時期が偶然にも博士課程の研究計画書作成の時期と重なっており,非常に幸運だったといえる。また,2008年の本誌第41巻1号の特集で質的統合法(KJ法)が取り上げられ(正木,2008;山浦,2008),当時,データ分析の途中であったため,大いに参考にし,論文をまとめる際には熟読して活用させてもらった。筆者が博士論文の中で質的統合法(KJ法)を活用した頃の理解は未熟であったが,そのことがかえって分析に真剣かつ真摯に向き合える原動力になっていたともいえる。さらに,山浦氏からスーパーバイズを受ける幸運にも恵まれた。
その後,2009年に看護質的統合法(KJ法)研究会が発足し,研究会主催の研修に参加したり,修士課程の院生を指導したりする機会を通じて,少しずつこの研究手法についての理解を重ねてきた。研鑚を積むと少しは自信がつくかと思えば,むしろ習熟度の低さを思い知らされることが多い。しかし,研修や研究論文などで質的統合法(KJ法)に触れるたびにその奥深さと魅力に引き込まれ,活用方法の多様性や発展性を感じている。
本稿では,まず筆者の博士論文の中で質的統合法(KJ法)を活用した経緯と概要を紹介した上で,看護の研究方法としての質的統合法(KJ法)の今後の発展性について述べたい。
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