特集 研究の意味─多領域との対話から
看護研究が医師にとって意味あるものとなる場面
藤沼 康樹
1,2
1医療福祉生協連家庭医療学開発センター
2千葉大学大学院看護学研究科専門職連携教育研究センター
pp.576-581
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201319
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はじめに
看護研究に医師が日常的に接するという場面は,これまであまりなかったのではないかと思います。看護研究は看護の研究であって,医師の仕事や役割は看護とは違うところにあると考えられていたこともその原因のひとつでしょう。看護師と医師はそれぞれ独自のプロフェッショナルアイデンティティがあるということは,以前に比べて,より明確に医師の間では意識されてきていると思います。むろん一部の古い世代では,看護は医師の補助・介助の仕事であるというふうな言説は残っていて,看護師が行なう看護研究の具体的イメージがまったくもてていない現状も,まだあると思います。さらに,医師の卒前医学教育では,専門職連携教育(Inter Professional Education;IPE)が徐々にひろがりつつあって,看護師の職能を理解する機会は増えてきています。例えば,保助看法における看護師による「療養上の世話」に対する認識は医師の間でもかなり改善されてきたといえるでしょう。しかし,看護学あるいは看護研究とは何かといった内容のカリキュラムが医学部で行なわれているという話は,あまりきかない現状が課題として残ります。
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