オピニオン 精神科医にとっての薬物療法の意味
精神科臨床場面における薬剤処方の意味
久住 一郎
1
1北海道大学大学院医学研究科精神医学分野
pp.110-111
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205317
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はじめに
薬物療法と精神療法が精神科治療において両輪の役割を果たしていることは言うまでもない。また,薬物療法の効果に基づく薬理学的機序の検討から精神疾患の病態理解が進んできたことからも明らかのように,精神科治療において薬物療法が一定の大きな役割を果たしていることに疑いの余地はない。しかし一方で,精神科治療学の長い歴史において薬物療法がより積極的な役割を果たすことが多くなるにつれて,薬剤自身が持つ生物学的効果に対する「過信」が治療者側に起こりやすくなってきたのではないかという危惧も感じている。
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