特別記事
─【研究対象者に対する研究倫理を考える③】─研究対象者にとって倫理的であるということの判断基準
家島 明彦
1
1大阪大学全学教育推進機構教育学習支援部
キーワード:
倫理的配慮
,
判断基準
,
5W1H
,
4象限マトリクス
Keyword:
倫理的配慮
,
判断基準
,
5W1H
,
4象限マトリクス
pp.522-526
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201307
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
はじめに
これまで本連載では,「看護研究における研究対象者(研究協力者)に対する倫理的配慮は十分だろうか」という問題提起を行ない,何が問題なのかをさまざまな角度から検討してきた。本連載の発端は,研究者と現場(あるいは研究対象者)における心理的な違和感や認識のズレであったが,そもそもこのような主観的判断が,立場の異なる者同士で一致しないことは珍しくない。なぜなら,その判断基準は学問領域や所属機関,個人の経験や立場と深く関係しており,また,判断する個人の心も千差万別だからである。
本稿では,「倫理的である」ということの判断基準について改めて検討し,研究対象者に対する倫理的配慮を考える際の論点整理を行なう。この論点整理は,暗黙のうちに当然の前提だと思い込みがちな部分を問い直す作業でもある。まず5W1Hを使って,ある配慮が倫理的であるかどうかを判断する際のポイントを整理する。次に4象限マトリクスを使って,倫理的であるかどうかの判断が難しい「グレーゾーン」の存在を指摘する。そして心理学の立場から,「研究対象者にとって倫理的であるということの判断基準」について考察する。
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.