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看護職をめぐる現在の状況と私自身の研究
看護職は,保健医療分野全体の50%以上を占める最大の専門職集団であり(WHO, 2016),看護研究の論文は,保健医療系で最多の執筆者,読者を確保できる発展性を秘めている。超高齢少子社会,医療の超高度化,医療財源の枯渇により,費用対効果などの経済効率性やアウトカム重視の傾向は今後,ますますシビアになることが予測される。より効率的で安全性の高い医療を提供するために,Inter Professional Collaborative Work(IPCW;専門職連携,チーム医療)/Inter Professional Work(IPW;チーム医療)の強化,深化や,各職種の専門性やコンピテンシーの強化による多職種間の協働が大きな課題となっている(Green, 2015)。
IPCW(またはIPW)は,プライマリケア,感染症,医療分野の人道支援,新興感染症,非感染性疾患等の対策において,特に有効であることが明らかとなっている(WHO, 2010)。IPCW/IPWの基盤や教育体制の整備により,職種や専門領域の垣根を越えた共同研究が増え,今後,看護研究の領域に看護職以外のさまざまな職種の専門家が参入してくる可能性がある。米国立研究アカデミーは,専門職間の学際研究(Interdisciplinary research;IDR)について,基礎的理解の増進,単一の学術分野や研究遂行領域を超えた問題解決のために,2つまたはそれ以上の分野や専門知識の集まりから情報,データ,技術,ツール,見通し,概念,理論を統合させる研究チーム,または個人による研究方法であると定義している。研究チームが最も高い生産性を発揮できるのは,一般にメンバーが多様な学位,資格(修士,学士,博士,看護,医師)をもつ,技術レベルの高い経験豊かなメンバーで構成される場合であるといわれている。チーム医療の発展により,従来とは異なった多角的な視点で書かれたおもしろい研究論文の出現が期待できる。
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