焦点 Burnout
レポート
看護婦のBurnoutと職場環境・性格との関連について
舛森 とも子
1
,
白川 こずえ
1
,
加々見 和枝
1
,
下谷 あけみ
1
,
行光 美音子
1
1日本赤十字社幹部看護婦研修所
pp.189-197
発行日 1988年1月15日
Published Date 1988/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200968
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はじめに
現代社会においては特に,人々の健康に対する価値観は多様化し,その中で看護婦は,患者のニーズを的確に把握して,看護ケアを提供する過程で,医師,上司,同僚,患者および患者の家族などさまざまなタイプの人たちとよりよい人間関係を保とうと努力し悩んでいる。さらに,医学知識技術の発展により,職場内に導入される医療機械がふえ,機械に対する知識,技術を絶え間なく習得することを余儀なくされ,また,複雑な治療,ケアを要する患者も増加している。このような職場環境の中で,患者の看護に携わっている看護婦は,仕事量も多く,また,ミスは生命に直結するため許されず,緊張の連続で,ストレスは大きい。このような緊張が長期間にわたると,看護婦のBurnoutと言われ,アメリカでは問題になっている。Maslach1)は,Burnoutとは長期間にわたり人に援助する過程で,心的エネルギーが絶えず過度に要求された結果,極度の心身の疲労と感情の枯渇を主とする症候群であり,卑下,仕事嫌悪反応,思いやりの喪失を伴うものと定義している。
確かに,人々の健康増進に関心が高まる中,サラリーマンのストレスについて一般的に言われているが,看護婦の受けるストレスが,心身また看護ケアにどのような影響を及ぼすかについては,最近まで目を向けられなかった。
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