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はじめに
Maslach Burnout Inventory(MBI)は,MaslachとJackson(1986)がそれまでのさまざまな実証的研究成果(Maslach, 1976;Maslach, 1978;Maslach, 1982;Maslach & Jackson, 1981)をもとに開発した,仕事に関連したバーンアウト測定尺度であり,現在広く一般に使用されている。
バーンアウトとは,慢性的ストレスに対する長期的反応の結果として現れる精神的疲弊・悲観的考え・効力を感じられない感覚である(Maslach & Leiter, 1997)。バーンアウトは,対人サービス業における社会的問題として取り上げられ,世界的にも研究が推進されている。
MBIは,ヘルスケア分野の研究においても広範囲に使用されている。今回の共同研究者であるリンダ・エイケン(Linda H. Aiken)氏も,MBIを使用しながら患者および看護師のアウトカムに関してさまざまな研究を推進している。世界の看護界に衝撃を与えた「患者の受け持ちが1人増加するごとに看護師のバーンアウト率は23%上昇する」(Aiken et al., 2002)という研究報告においてもMBIが使用された。そのほか人員配置と看護師のバーンアウトとの関係に関する研究(Aiken, Clarke, & Sloane, 2002;Leiter & Laschinger, 2006),労働時間と看護師のバーンアウトとの関係に関する研究(Pines & Maslach, 1978;Stone et al., 2006),他の医療従事者との人間関係と看護師のバーンアウトに関する研究(Leiter & Maslach, 1988;Leiter & Maslach, 2004;Leiter & Laschinger, 2006)においてもMBIが使用されている。
本稿では,バーンアウトの概念の解説,MBIに関する国内の研究報告の紹介および今回研究班が調査で使用したオリジナルMBIの因子分析結果を解説する。
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