焦点 Burnout
解説
燃えつき現象の精神看護学的推論
南 裕子
1
1聖路加看護大学
pp.132-139
発行日 1988年1月15日
Published Date 1988/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200962
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1970年代からアメリカ合衆国で,医療従事者の中に生じる,いわゆる「燃えつき(burnout)」という現象が注目されだし,研究されるようになった。人々を援助する仕事に長期に携わっている内に,心的なエネルギーが過度に要求された結果,極度の疲労と感情の枯渇を主とする症候群であり,いったん燃えつき徴候を来たした人には,自己卑下や仕事への嫌悪感,他の人々に対する思いやりの欠如が観察されるといわれている1)。日本でも,1980年代になって,医療従事者,特にさまざまな場において働く看護者の燃えつき現象が研究されるようになった2-6)。筆者もこの領域の研究を仲間と一緒に過去4年間続けてきて7-9),日本の看護婦の中にもいわゆる「燃えつき」徴候を呈したり,「燃えつき傾向の高い」と考えられる看護婦が,かなりの高率で存在することがわかった。燃えつき現象の実態や研究法に関することは,この特集に組まれた他の執筆者が担当されているので,ここでは別の側面から推測的に論じてみたい。
今までの燃えつき現象の研究は,どちらかというと現象的,実態調査的なものである。
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