焦点 主観と客観
解説
科学と主観性
西脇 与作
1
1慶応義塾大学文学部哲学科
pp.169-174
発行日 1983年7月15日
Published Date 1983/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200755
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はじめに
私たちの科学研究は,客観的でなければならない,ということは,いわば科学についての建前となっている。そしてまた,科学史,科学方法論の世界でも,主観性から客観性へという図式のもとで科学の発展が一般的に論じられてきた。なるほど,科学の進歩は客観化の徹底によって成し遂げられた,ということは一面の真理をとらえてはいる。が,はたして事態はこの直線的な図式に圧縮されるほどに単純なのであろうか。主観,客観の区別を徹底し,主観的要素を切り捨てることが,科学活動のあるべき姿であり,それが進歩につながる,ということに疑いの余地はないのであろうか。そもそも主観とか客観とかは何を指しているのであろうか。
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