Editorial
主観性と客観性
伊藤 澄信
1
1国立病院機構本部医療部
pp.691
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100405
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私は正座が苦手である.正座をすると足がじんじん「しびれ」てきて,正座を解除した後に襲ってくる痛みとも感覚のなさともいいようのないあの感覚は耐え難い.しばらくすると治るとわかっているからよいものの,もしあの感覚がずっと続くとしたら死んだほうがましと思う気持ちも宜なるかなと思う.
しびれとはよくわからないものである.この特集を企画した時は「客観的にはわかりにくい不快な皮膚感覚」を念頭においていた.しかし,日本語の「しびれる」には異常に心地よい興奮でうっとりする状態という意味もある.苦痛への辛さの感じ方は人によりさまざまである.マゾと呼ばれる人たちもいるので,多少の痛みなどは快感に通じているのかもしれない.もしかするとしびれも程度によっては快感なのだろうか.少々の苦痛が快楽なら,多すぎる仕事も快楽となるのだろうか.
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