焦点 患者の精神生活にどこまでかかわるか・5
レポート・2
患者が疑問をもち始めた時期に—内科病棟から
鈴木 要子
1
1東京都立府中病院
pp.408-410
発行日 1977年10月15日
Published Date 1977/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200532
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卒業後間もないある日,近くに人が来ると,それが,隣室の患者であっても,看護婦であっても,医師であっても,口ぎたなく罵り,周囲の人達皆を暗い気持にさせてしまう70歳の胃癌の女性の部屋から,ナースコールがあり,走って行くと,先輩看護婦に心マッサージをかわるように言われた。
しばらくして,医師が心停止を告げ,アンビューがはずされた時,日頃見なれた顔ではなく,表情のおだやかな,優しい老女を発見して,心うたれた。この人はこのように美しい表情をする人であるのに,なぜ生きているうちに出来なかったのか。私に転機をもたらした最初の「死」である。
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