治療のポイント
人工透析を始める時期
土屋 尚義
1
,
東条 静夫
1
1千葉大第1内科
pp.759-763
発行日 1972年6月10日
Published Date 1972/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204111
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はじめに
近時わが国においても人工透析は飛躍的に普及し,従来不治,進行,確実に死に至る病であった慢性腎不全に極めて有力な治療法を提供した.その効果は誠に刮目すべきものであるが,このような方法に頼る生体代謝異常の是正には自ら限界を有し"人工腎臓"の名前はいささかおこがましく感じられる点もある.装置・方法に幾多の改良が加えられつつあるが,現在までの経験の積み重ねによってその功罪,限界,適応の選択についてようやく実感をもって問題点を提起できるようになってきた.
透析適応症例の選択基準は以下に述べるように医学的,社会的に多岐にわたり,また腎不全病態の機序に関しても未解決の部分が多いために釈然とした一線を画し得ない点もある.しかしながら臨床家としては日常何らかの選択を行ない,何らかの目標を立てなければならない立場にある.上記の問題点を踏まえて今日妥当と思われる適応選択の方法を手順に従って述べることにする.
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