特集 質的研究方法を用いた博士論文作成指導の技法―メンタリングプロセスに焦点を当てて
質的研究の経験から―論文指導,学習のヒント
山本 則子
1
1東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻
キーワード:
質的研究
,
大学院教育
,
研究指導
,
グラウンデッドセオリー
Keyword:
質的研究
,
大学院教育
,
研究指導
,
グラウンデッドセオリー
pp.390-397
発行日 2013年7月15日
Published Date 2013/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100804
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質的研究を指導する際の困難
米国で質的研究論文を書いて博士課程を修了してから20年近くになろうとしている。その後3年間の米国滞在と1年間の臨床実践を挟んで,看護系大学で教員として仕事をしてきた。この間,多くの学生と質的研究を実践し,また一研究者としてもいろいろなプロジェクトに取り組んできた。20年の間に,看護研究論文の出版数は看護系学会の学会誌の増加とともに増え,医学系雑誌でも市民権を得るなど,質的研究は広く受け入れられはじめ,時代の変化を感じる。これまでの質的研究とのつきあいを振り返り,さらに米国と日本の質的研究の教育・論文掲載までの過程を私自身が経験した範囲で比較して,質的研究のさらなる発展のために,皆でできることを考えたい。
本稿では,まず,質的研究を指導したり,査読したりした際に経験した課題・問題点をあげ,そこから質的研究実践上のポイントと考えていることをまとめる。次に,日米の大学院教育,査読をしたり受けたりした経験から,日本の課題と思われることをまとめ,最後に,看護系大学の教員・大学院生に向けて非常に僭越ながらいくつか提言をする。あくまで「自戒を込めた」提言であることをあらかじめ言い訳させていただきたい。
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