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はじめに
弘前大学(以下,本学)の「緊急被ばく医療人材育成プロジェクト」(以下,本プロジェクト)における教育については,「学部教育」「大学院教育(博士前期課程)」「現職者教育」を3つの柱として,2010年度からの教育開始を目的に,2008年12月から具体的な検討を開始した。
検討にあたって,被ばく医療に関する教育は本学大学院保健学研究科の各専門領域の枠を超えて構築することが不可欠であることから,インタープロフェッショナルワークとして取り組むことを合意した。本学の医学部保健学科は,看護学,放射線技術科学,検査技術科学,理学療法学および作業療法学の5専攻で構成されており,博士前期課程は看護学,生体情報科学,生体機能科学,総合リハビリテーション科学の4領域から成っている。生体情報科学領域は放射線技術科学専攻を,生体機能科学領域は検査技術科学専攻を基盤にしている。そして教員の所属は,博士後期課程の健康支援科学領域と医療生命科学領域となっている。
2008年度は,保健学研究科の緊急被ばく医療検討委員会の下位組織である教育・研修部門に「学部教育」「大学院教育」「現職者教育」の3つのワーキンググループ(WG)を設け,それぞれの目的・目標および教育内容を検討した。各WGの委員は5~7人で,「教育・研修」「情報収集」「検査」および「研究」の4部門(当時)から選出し,委員の専門領域が偏らないように構成した。
そして,2009年度にプロジェクト発足時の組織が改められ,これまでの教育・研修部門で積み上げてきた緊急被ばく医療教育の構築を引き継ぐ形で,教育部門が独立して設置された。部門のメンバーは,健康支援科学領域と医療生命科学領域の2領域から各4名選出された8名である。できるだけ2008年度の委員が継続するよう配慮した。
それぞれの教育プログラム作成にあたって,学部教育,大学院教育,現職者教育の有機的連携の観点から,WG間でめざすべき人材育成の到達目標を共通認識するために合同の会議をもち,「人材育成コアカリキュラム」(図1)および各教育で育成する人材像(表1)を明確にして,それぞれの教育プログラムに着手した。
2010年度から緊急被ばく医療に関する教育を開始して2012年度で3年目を迎えている。本稿では,緊急被ばく医療教育の教育課程の構築について,学部教育と大学院教育,そして現職者教育について紹介することとする。特に,大学院教育を中心に述べる。
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