焦点 Good Nurse研究にみる 東アジア国際共同研究の意義・方法論・成果
van Kaamの現象学的手法とGood Nurse研究―徳の倫理における異文化比較研究方法論
八尋 道子
1
,
Samantha M.C. Pang
2
1佐久大学看護学部
2The Hong Kong Polytechnic University School of Nursing, China
キーワード:
徳の倫理
,
研究方法論
,
現象学
,
異文化比較研究
,
患者の視点
Keyword:
徳の倫理
,
研究方法論
,
現象学
,
異文化比較研究
,
患者の視点
pp.643-653
発行日 2011年12月15日
Published Date 2011/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100594
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はじめに
本稿は,徳の倫理における異文化比較研究の方法論化に向けて,Good Nurse研究が用いた研究方法を述べる。
Good Nurse研究が求めたのは,“Are we good to our patients?”つまり「私たち看護師は,私たちの患者にとって“よい”でしょうか?」という問いに対する知であった。質的インタビューによって患者から得られたデータから,「患者の脆弱性」「よい看護師の特質」「よい看護師の実践」「よい看護師の影響」というテーマが現われた(Pang, Yahiro, & Chan, 2009)。日本人の患者たちの物語のなかに住む,実在のよい看護師たちは,看護という仕事に誇りをもち,専門職としての知識と技術を携え,明るく,決めつけず,患者の価値に基づいた看護実践を行なっている倫理的具体例であった。
研究,特に質的研究は,厳密性を保証するために,オーディット・トレイル(audit trail)の記述を研究者に要求する(Lincoln & Guba, 1985, pp.209-210, 319-320)。本稿では,Good Nurse研究の追試を今後計画される研究者のガイドにもなるよう,以下の内容で具体的なステップの詳説を試みたい。
・研究方法の概要(なぜ現象学的手法と患者の視点を用いたか)
・van Kaamの現象学的手法の特徴を踏まえてどのように研究が推進されたか
・研究の厳密性をどのように保とうとしたか
・Good Nurse研究が東アジアの倫理的看護実践にもたらし得るエビデンスの可能性
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