焦点 Good Nurse研究にみる 東アジア国際共同研究の意義・方法論・成果
東アジアGood Nurse研究の船出と推進,成果
小西 恵美子
1,2,3
1佐久大学看護学部
2長野県看護大学
3Good Nurse研究プロジェクト
キーワード:
Good Nurse
,
徳
,
倫理
,
国際共同研究
,
東アジア
Keyword:
Good Nurse
,
徳
,
倫理
,
国際共同研究
,
東アジア
pp.636-642
発行日 2011年12月15日
Published Date 2011/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100593
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はじめに
礼節,秩序,冷静,協調,静かな勇敢さ,潔さ,自己犠牲…。どこか古めかしく響くこれらの「徳」は,自律,自主性,自己主張といった最近の合言葉の前に,看護界ではすっかり影をひそめてしまったかのようである。本焦点の東アジアGood Nurse研究チームがこれらの徳について,ある国際学会で発表したとき,会場の西洋の看護師から,「古臭い,不愉快,われわれ看護師がせっかく自主・自律を勝ち取ってきたのに!」といわれたこともある。「また昔に戻れというのか」と。
しかし,2011(平成23)年3月11日の大震災が報道され,世界の人々は,その震災のすさまじさに驚くとともに,過酷な状況でも冷静に協力し合う日本人の姿に冒頭のような美徳を見いだし,感動し,称賛した。そして,私たちはそれによって日本人のよさをあらためて認識し,被災した同胞への連帯と自国への愛を深め,再起して前に進む勇気が湧いたのだった。徳はそれほどに偉大な力がある。日本で親から子へと伝えられてきた昔ながらの徳は,いまなお光を放っている。
本焦点で紹介する私たちのGood Nurse研究では,儒教の影響の流れる東アジアで,がんの人々が看護師に見いだした徳の探求を行なった。礼節,協調,潔さ,責任感,使命感等々。世界の人々が称えたこれらの徳は,「よい看護師」たちの徳と重なる。がんを生きる人々は,看護師のこれらの徳が,弱く傷つきやすい状況にある自分たちにどれほどの力を与えるものであったかを,時に涙で語ってくれた。
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