健康づくり・地域づくりに関する看護学研究と研究方法論の探究

はじめに

　地域看護学は，地域（コミュニティ；生活共同体）での生活の営みを対象にして，慣習や風土，人々のもてる力を活かすことにより，地域を構成するすべての人々の健康生活の質の向上を，看護実践を通して追究する分野である。本学の当分野では，これまでに68件の修士研究，26件の博士研究が取り組まれてきた。これらの研究課題を概観すると，地域における健康づくり・地域づくり28件，保健師の専門性・行政看護の機能27件，在宅療養支援・ケア体制づくり20件，家族支援19件であり，健康づくり・地域づくりは，本分野を特徴づける研究課題の1領域といえる。

　本稿では，本学大学院において取り組まれてきた修士研究・博士研究の研究成果に基づき，健康づくり・地域づくりに関する看護学研究の研究方法論について探究する。