焦点 看護学における「生活者」という視点─「生活」の諸相とその看護学的省察
慢性の病いと「生活者」,そして「生活」
社会福祉における「生活者」および「生活」という概念について―わが国における貧困者に関する研究からみえること
杉野 緑
1
1岐阜県立看護大学
キーワード:
生活
,
生活者
,
社会福祉
,
勤労者
,
ホームレス
Keyword:
生活
,
生活者
,
社会福祉
,
勤労者
,
ホームレス
pp.379-384
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100150
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はじめに
筆者に与えられたテーマは社会福祉における生活者および生活という概念について述べることである。
社会福祉とは,単なる諸サービスの羅列ではなく,低収入や生活リスク,例えば傷病のような生活問題への対応の模索から始まった社会的努力,社会的方策である。その研究はいくつかの系譜をもっているが,貧困研究は社会福祉の核となる研究である。なぜ貧しいのか,それは具体的にどのような姿としてみえるのか,どのようにしたら解決することができるのかが問われ,追究されてきている。本稿は,今日の貧困の典型としてみなされているホームレスの事例を通しての生活者および生活に関する考察を行なう。「豊か」といわれる社会でなぜ路上生活を余儀なくされる人々が生み出されるのか,どのような人々なのか,どのような生活をしているのか,その解決のためには何が必要なのかを考えるなかからみえる生活者と生活概念について述べる。社会福祉の核としてなぜホームレスを取り上げるのかは後述するが,筆者はそこに社会福祉が対象とするべき私たち勤労者の典型をみるからである。
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