焦点 看護学における「生活者」という視点─「生活」の諸相とその看護学的省察
看護学において「生活者」の「生活」を描くための研究方法
「生活者」の「生活」を描くためには―3つの面接調査研究の経験から
井上 洋士
1
,
平野 真紀
1
,
後藤 佳奈恵
2
,
尾中 真悟
2
1三重県立看護大学
2三重県立看護大学看護学部
キーワード:
病い経験
,
生活
,
benefit-finding
,
ジェンダー
,
リサーチ・マインド
Keyword:
病い経験
,
生活
,
benefit-finding
,
ジェンダー
,
リサーチ・マインド
pp.399-407
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100152
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はじめに
本稿では,なんらかの「病い」を抱えながら「生活」を送り「人生」を歩む人々の経験や思いを探った面接調査研究の具体例を3編紹介したい。これらは,「病い」とともに生活をしている人自身が「生活者」として,どのように症状や障害を認識し,それとともに生活し,どう対処しているのかという「病い経験」(Kleinman, 1988)ないしは「主観的な経験」(Conrad, 2005)が,その人のQOL(生活の質)に大きな影響を及ぼす可能性があるということを前提にしている。誌面の制約上,「健康管理」「服薬」「セルフケア」といった範疇に限定的に光を当てるにとどめたが,いずれの研究においても「疾患(disease)」ではなく「病い(illness)」とともに生きる「生活(life)」に目を向ける作業をもしており,それぞれ重要な視点が提示されている。これら3編を通じて,「生活者」の「生活」を「描く(describe)」という作業において経験的に有効と考える基本的姿勢,さらには看護実践や看護教育に求められることについても考えていきたい。
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