焦点 看護学における「生活者」という視点─「生活」の諸相とその看護学的省察
慢性の病いと「生活者」,そして「生活」
災害看護における「生活者」と「生活」―阪神・淡路大震災の体験から
池田 清子
1
1神戸市看護大学
キーワード:
阪神・淡路大震災
,
被災者
,
災害看護
,
生活者
,
専門職ボランティア
Keyword:
阪神・淡路大震災
,
被災者
,
災害看護
,
生活者
,
専門職ボランティア
pp.355-364
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100147
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はじめに
災害看護という概念は,1995年1月17日の阪神・淡路大震災をきっかけに広く看護者に知られることとなった。この大震災以前にも1990年にはじまった雲仙・普賢岳噴火災害や,北海道の南西部沖地震など多くの自然災害に見舞われていたが,近代的な大都市を襲った大型の直下型地震で6400名余りの犠牲者を出した阪神・淡路大震災は国内で他に例をみない。ライフラインが途絶し電力は約1週間で回復したが,上下水道は2か月,都市ガスは3か月と市民生活は不自由な期間が続いた。そのほかJR神戸線も復旧までに4か月の期間を要し,鉄道に代わり代替バスや自転車・徒歩が市民の交通の主要手段となった(図1)。このように広域かつ長期間にわたり住民生活の基盤が失われたという点で,阪神・淡路大震災の際の医療や看護に関する調査文献は他の災害に比べ件数が多い。そこで本稿では,主として阪神・淡路大震災に関連する研究を通して,災害看護における「生活者」の概念を検討する。
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