焦点 看護学教育における方法論の探求と研究的視座
批判的思考能力の獲得のための教育方法―ソクラテス法とケースメソッドの導入
櫻井 利江
1
,
浅野 美礼
1
,
川口 孝泰
1
1筑波大学大学院人間総合科学研究科
キーワード:
批判的思考能力
,
クリティーク演習
,
ソクラテス法
,
ケースメソッド
,
グループワーク
Keyword:
批判的思考能力
,
クリティーク演習
,
ソクラテス法
,
ケースメソッド
,
グループワーク
pp.35-43
発行日 2007年2月1日
Published Date 2007/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100126
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はじめに
本学の基本看護技術演習では,すべての技術項目を網羅することはできないことはすでに述べた。そのもれた項目をどうしていくのか,ということを教育的に配慮する場合,2つの方向性があるように思う。1つは自己学習を促進するための問いを学生が提示できるということと,もう1つは「眼前に広がる現象から学ぶ」ことができる学習方法を強化・トレーニングすること,である。本学の基礎看護学教育プログラムでは,前者の,自己学習をどのように展開していったらよいのか,という点を基本看護技術の「演習の手引き」で強化してきた。後者については批判的思考能力の獲得に向けた演習プログラムを配している。さらに,現象から学ぶことについても,自己学習を展開するにも,その前提にあるのは,問いを立てられる能力があるか否かにすべてがかかっているといってもよい。本教育プログラムは,大学時代に完結することを目標としているわけではなく,将来にわたって自らが学び続け,鍛錬を自分に課していくことのできる基礎力をつけることが最大の目標である。
看護技術は厳密である一方で,潜在的にも原理的にも,多様性をも有していることに特徴があると考えている。チェックリスト方式に代表されるようなテキスト自体に直接向かうような学習アプローチでは対応しきれない。それは,繰り返すが看護学が個別性に向かう学問であり,看護技術には安楽の提供役割があるからである。
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