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はじめに
看護技術には教授すべき「項目」がある,とされてきた。看護基礎教育における技術教育のあり方に関する検討会報告書(2003)にも,それらの技術項目は看護基礎教育において,押さえるべきものとして取り扱われている。看護技術教育に取り上げる技術項目および内容については既存の教科書類に準拠しており,それは指定規則に沿う必要性のあること,国家試験の受験資格を授与される教育課程であることから当然の規制である。また新人看護師の技術力に関する問題点を指摘される場合も,この看護技術項目は重要な役割を果たしており,「何ができる」「何ができない」といったデータを裏づける際には必ず看護技術項目ごとの結果が表示される。教育のoutcomeとしては,実際に「できる」か「できないか」はきわめて重要である。しかし,それは技術教育の目標をそこにだけ限定してよいということを意味していない。技術には必ずなしとげていかなければならない「発展」という側面がある。つまり,変化をとげる可能性があることを示している。それを考慮する時,その教授方法には教育理念とそれを具体化するための相応の工夫としかけが必要であると筆者らは考える。つまり技術を項目に沿って“もらさずに”教えることだけがすなわち,看護技術教育の方法論の定式ではないのである。
本学で我々が構築した基本看護技術の演習では,縦糸に看護技術項目を,横糸にリベラルアーツの方法論を取り入れて実施している。看護技術教育にこのような視点を取り入れて具体化した点は大きな特徴であるといえる。本稿では,どのような意図でこのような構成にしたのか,どのように実施しているのか,を明らかにしていきたいと思う。
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