連載 多様性があたりまえの未来へ 国内最大規模のLGBTs調査結果から・8
小中高校・特別支援学校の教員におけるLGBTsの認識(3)
日高 庸晴
1
1宝塚大学看護学部
pp.968-972
発行日 2021年12月25日
Published Date 2021/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201954
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まずは教員の学びが求められる
「性的マイノリティの児童生徒が少なくともクラスに1人はいると思う」と認識する教員はほぼ3分の1程度の割合であったことが,全国約2.2万人の教員を対象にした調査で示されたことを前回(本誌2021年10月号)お伝えした。子どもに関わる専門職の大半が,教室の中にLGBTsの児童生徒が存在することを前提に,日々の教育や取り組みに携わることが求められるところであるが,実際は異なることが分かった。性的指向と,性自認やそれに関連することが多い性別表現など,セクシュアリティの多様性について取り組みを推進する上では,知識や情報の習得のみならず,「自分の身近に当たり前に存在する」というリアリティを持つことが不可欠である。
教育学部など養成機関で同性愛や性同一性障害の学びの経験について尋ねる際,これらだけではなく性暴力,性感染症,HIV/AIDSの学びの経験と併せて尋ねたところ,性感染症とHIV/AIDSについては回答者全体で3割程度,性暴力,同性愛,性同一性障害については1割程度であった。いずれの健康教育課題においても年齢が若いほど,地域別では近畿地方在住者が最も高率であった(表1,2)。
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