連載 多様性があたりまえの未来へ 国内最大規模のLGBTs調査結果から・2
LGBTsの学齢期におけるいじめ被害・自傷行為・自殺未遂経験の現状
日高 庸晴
1
1宝塚大学看護学部
pp.370-375
発行日 2021年5月25日
Published Date 2021/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201795
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学齢期からの当事者の困難
2015年に東京都渋谷区と世田谷区で開始された同性パートナーシップ制度は,2021年4月現在,全国103の自治体にまで拡大している。戸籍上は異性同士であっても同性カップルと認識している二人を含め,柔軟な対応をする自治体や,カップルの子どもとの関係も含めたファミリーシップ制度とするなど,自治体による工夫も見られるようになってきた。こうした取り組みを継続していくことが,当事者支援に資するのみならず性的指向と性自認・性別表現の多様性の理解促進や啓発の一助となっているといえるだろう。
その一方,性的指向と性自認,時に性別表現の多様性を否定するような言動やバッシング,マジョリティとの「違い」を理由にした排除や差別などが社会に現存していることも事実である。こうした社会の中でLGBTsの当事者は学齢期からさまざまな困難を経験することが,筆者のこれまでの一連の調査で明らかになっている。
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