連載 ゲイ男性の抱える苦悩 2
生育歴と自殺未遂
日高 庸晴
1
1京都大学大学院医学研究科
pp.660-663
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100295
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
異性愛を中心とする社会において,多くのゲイ・バイセクシュアル男性は,社会的なストレスや心理的葛藤など多くの困難を抱えており,それに関連して精神的健康状態もあまり良好でない現状にあることを第1回目でお伝えした。今回は,ゲイ・バイセクシュアル男性特有のライフイベントや,中学校や高等学校といった学齢期に達した際の出来事の実態についてお伝えする。
ゲイ・バイセクシュアル男性は少なくとも人口の3~5%は存在すると考えられているが,彼らは社会的に可視化されづらい存在であり,学校教育現場において彼ら自身から性的指向を名乗り出ることはほとんどない。したがって,彼らは確かに教室にいるのだけれども,その存在を周囲が認識することができずにいるのが現状であると捉えるべきであろう。これまでに筆者が実施してきた一連の調査研究から,ゲイ・バイセクシュアル男性の多くが,性的指向の気付きや受容段階に関連して心身ともに多くの課題をかかえていることが明らかになっている。また,ゲイ・バイセクシュアル男性特有のライフイベントは思春期に集中して発生しており,学校教育や地域での支援が必要であることを示唆している。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.