連載 宝物,教えてください・58
二人の姪
中川 有加
1,2
1静岡県立大学看護学部看護学科
2静岡県立大学大学院看護学研究科
pp.887
発行日 2020年12月25日
Published Date 2020/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201677
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新人助産師時代,陣痛室で産婦の腰をマッサージしていると「助産師さん,産んだことある?」と聞かれ,「ないです」と答えると「じゃあ,このつらさ分からないわよ!」と言われてしまったことがある。単純な私は,「出産を経験しなければ」と思い,月2件くらいお見合いを繰り返していたころ,姉が私の尊敬する開業助産師の助産院で1年ごとに続けて出産した。年子の育児は大変で,姉は行き詰まると実家によく帰ってきていた。そのため私にとっては,「おっぱい飲んでる時以外は泣いている」といった教科書からは得られないさまざまな知識を得た。自分のことは後回しで,わが子に向き合っている姉の姿を通して,育児とは無償の愛,ここまで自分を滅して捧げるものなのだと分からせてもらえた。また,姪たちが新生児から乳幼児,幼児,学童へと成長していく過程を間近で見ることができ,成長過程での気付きや心配事,育児での工夫も知ることができた。
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