連載 現場が変わる! チームに働きかける母性看護CNSの実践 現象学的分析編・1【新連載】
—実践場面の“問い”から始まる臨床看護の本質—どうやって親子になっていくのか分からない
村上 靖彦
1
1大阪大学大学院人間科学研究科
pp.376-380
発行日 2020年5月25日
Published Date 2020/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201534
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現象学的分析編を始めるにあたり
2019年1〜12月号にかけて,連載「現場が変わる! チームに働きかける母性看護CNSの実践」を掲載した。母性看護専門看護師(CNS)が,高度専門職として水準の高いケアを提供し,現場でどのような役割を果たしたか,漫画と事例紹介で可視化することに努めた。
9月号の事例提供者である八巻和子氏(助産師,甲府病院)に,その後,村上靖彦氏(現象学者,大阪大学)が2時間にわたるインタビューを実施し,八巻氏の臨床経験や実践を通して感じた思いについて12月号で一部ご紹介した。
今回の連載では,八巻氏の母性看護CNSとしての10年間の歩みがより詳しく語られる。その実践の中に見えてくる高度実践の根幹にあるものを,これまでCNSの実践分析1)を数多く手掛けていらっしゃる村上氏に現象学の立場から明らかにしていただいた。
八巻氏の実践の中心的テーマは,助産学生時代に学んだ「女性の一生を支える」であった。一人の女性から母になり,家族を形成するプロセス—母性看護の中心課題ともいえるこのテーマをどう支えていくのか—看護者として迷い,問い続けながら八巻氏は彼女独自の実践哲学に高めている。さらに八巻氏の実践は一人の高度実践というだけでない。彼女の実践哲学を基盤にしたケアをチームメンバーと共にし,複雑で解決困難な課題を有する対象に高度なケアを提供していく。
ここには,まさに臨床看護の本質,高度実践家の本質が描き出されている。
(連載企画者/関西国際大学 松原まなみ)
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