特別記事
出産前教育としてのコペアレンティング促進プログラムを実施して
武石 陽子
1
,
中村 康香
1
,
吉沢 豊予子
1
1東北大学大学院医学系研究科ウィメンズヘルス・周産期看護学分野
pp.762-767
発行日 2019年9月25日
Published Date 2019/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201353
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はじめに
わが国の20〜39歳の有配偶者女性の労働力率は約6割となり1),今後も職業を有しながら妊娠・出産,そして育児を行う女性は増加していくことが予測される。しかし,第1子出産前後で46.9%の女性が退職し2),たとえ共働きであっても妻の家事・育児時間は夫の0.46時間と比較し4.54時間と多い3)。加えて,わが国では「男は仕事,女は家庭」といった伝統的性別役割分業観が根強く存在していることから,いわゆるワンオペ育児が,働いている女性に限らず,女性の過剰負担を招いている。
このような女性の仕事や家事・育児の過剰負担に対し,わが国では育児に積極的に参加する男性を増やそうと,2010年よりイクメンプロジェクトを始動し,近年では,父親の育児に関する研究や,父親に対する育児支援教育やイベントも増えてきている。しかし,わが国における夫の家事関連時間は10年前より6分の増加にとどまり4),さらに育児期にある父親の13.6%がうつ状態となっていること5)も問題視されている。わが国のこのような育児期の課題に対して,夫婦が健康を維持し,希望するライフプランと育児を両立できるような支援方法が模索されている。
私たちはこの課題の解決策として,コペアレンティングの概念を取り入れたFamily Foundation Program®6)が有効であると考えた。これは,米国ペンシルベニア州立大学のFeinberg教授らが開発した,妊娠期から行われる夫婦参加型のコペアレンティング促進教育プログラムである。これは妊娠期5回,産褥期4回の合計9回のプログラムとなっている。
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