連載 宝物,教えてください・10
トラウベから伝わる命の鼓動に導かれ
小松 佐紀
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1社会福祉法人恩賜財団母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
pp.891
発行日 2016年11月25日
Published Date 2016/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200628
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私の宝物は2つあります。1つはトラウベです。お腹の赤ちゃんの心音を初めてトラウベで聴かせていただいたのは37年前。看護学生の母性実習の時でした。ダンダンダンと脈打つ心臓の音が大太鼓のように力強く私の右耳を打ちました。今でもその「命の鼓動」は耳に残っています。助産師として女性の人生に寄り添う時,喜びの誕生や楽しい育児だけではありません。それぞれの悩みや哀しみをもった妊産褥婦さんに,助産師として迷いながらも傍で寄り添う勇気を,その鼓動が与えてくれました。また,大勢の若いスタッフを預かり向き合う役割を担う時,その鼓動は希望の力となってくれました。「命の鼓動」は私の良心を量るものになっていました。
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