連載 宝物,教えてください・9
恩師からいただいたトラウベ
冨田 江里子
1
1バルナバクリニック
pp.797
発行日 2016年10月25日
Published Date 2016/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200604
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トクトクトクトク,トラウベから響く切れのよい胎児心音。木製ゆえの肌へのあたりのやわらかさ。両手をお腹に添えて赤ちゃんの様子をうかがい,最後に「心音聞かせてね」と心のなかで話しかけます。あたりがよければ20週前後から聞こえ,妊婦健診の時や緊張しながらお産を見守っている時,その軽やかな心音が耳に響くと「あー,大丈夫」とほっとし,表情が緩みます。
23年前,電気が安定供給できていないモルジブへ,青年海外協力隊で派遣が決まった時,恩師から譲っていただいた木製のトラウベ。電気のない島々を回っての妊婦健診,病院でのお産,フィリピンへ活動場所が変わった現在も,いつも妊産婦さんと向き合う時はトラウベが一緒です。
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