連載 宝物,教えてください・57
昭和の遺産? トラウベ桿状聴診器と性周期の計算尺
遠藤 俊子
1
1関西国際大学保健医療学部
pp.795
発行日 2020年11月25日
Published Date 2020/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201652
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1975(昭和50)年,私は東京都立公衆衛生看護学院助産学科で学びました。助産実習に行く前に,恩師から授かったのがこのトラウベ桿状聴診器(以下,トラウベ)でした。当時,看護師の白衣といえば開襟に前ボタン,ベルトが付いていました。実習先では,このベルトに脇差しのように常にトラウベを携帯していました。胎児の心拍の確認が最も重要であるが故です。
しかし,数年後に助産師長として勤務していた大学病院での出来事にびっくり! トラウベを使ったことがない新卒助産師を迎えたのです。確かに,この頃にはドップラーが主流で,分娩監視装置の使用も始まっていました。お母さんや家族にも心音を聞いていただけるドップラーは重要かもしれません。もはや昭和の遺産に近いですが,トラウベはどこにでも手軽に持ち歩け,電気のない国や地域でも使えます。愛しいだけでなく,助産師の象徴だと思います。
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