連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・136【最終回】
途上国と医療
冨田 江里子
1
1バルナバクリニック(フィリピン)
pp.1052-1053
発行日 2015年12月25日
Published Date 2015/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200379
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医療を受けられない理由
私は,22年前に青年海外協力隊に参加して以来,ほとんどの年月を途上国と呼ばれる国で暮らしてきた。そのなかで,現代医療に手が届かないゆえの患者の苦しみと,現代医療の恩恵にあずかれないゆえに発揮される生命力の強さを知った。
医療者の数が少なかったために伝統的産婆が活躍していた時代はすでになく,今はどの途上国でも医師も看護師も助産師も余っていると聞く。しかし,医療費の支払いが可能な患者が圧倒的に少ないため,患者が医療を受けられない。医師の都市への集中は日本と同じ状況だ。
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