連載 りれー随筆・304
私の背中を押してくれる1通の手紙
木村 英美
1
1市立池田病院
pp.380-381
発行日 2010年4月25日
Published Date 2010/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101646
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10年の節目に
助産師になって10年になる。学生時代からこの『助産雑誌』を愛読し,「りれー随筆」も欠かさず読んでいた。そして「いつか絶対にりれー随筆を書きたい!」と思っていただけに,今回私に巡ってきたことは本当にうれしく,また10年目という節目の年に書けることを感慨深く思っている。
思い起こせば,私が助産師になったのも,こうして10年間続けてこられたのも,多くの人との出会いがあったからだと思う。念願かない看護学校に入学したものの,医師の補助的な役割ばかりが目に映り,このまま看護師になることへの不安を抱いていた時期に母性実習は始まった。産科病棟はとても不思議な空間だった。過去の実習では感じることのなかった時間の流れと,たくさんの笑顔がそこにはあった。私の目に映る助産師の姿はとても素敵で,次第に憧れを抱くようになっていたある日,新生児を診察していた医師から「学生さん,産科いいやろ。助産師になったら? 赤ちゃんが君たちを待ってるで」との言葉。これで私の心は一気に助産師へと傾き,助産師学校の受験を決めるのである。無事,静岡県立の助産師学校に合格,入学したのだが,初めての1人暮らしを満喫する余裕もなく,忙しい学生生活が始まった。看護学生時代とはくらべものにならないほど実習は辛かったが,先生方や友人の支えがあったおかげで卒業することができたと感謝している。
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