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オキシトシン―私たちのからだがつくる安らぎの物質
水井 雅子
1
1みずい母乳育児相談室
pp.239
発行日 2009年3月25日
Published Date 2009/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101398
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「オキシトシン」は,私たち助産師にとってはなじみの深いホルモンである。1906年にヘンリー・デールという英国の学者によって出産と授乳に関係する物質として発見されて以来,現代に至っては,その「オキシトシン」のもつ〈安らぎと結びつき〉システムに世界中の学者たちの注目が集まっているという。著者のモペリ博士が「4人の子ども」を持つ母親で,彼女の研究の動機となったのが自身の妊娠・出産・授乳。つまり子どもたちとの密接なふれあいの体験から,それまで人生で感じていたストレスとは正反対の状態―〈安らぎと結びつき〉システムを科学的に探究しようと思い立ったというのも同じ女性として興味が惹かれる。
私たちの身体には,目標達成をめざす活動に関係する〈闘争か逃走か〉だけでなく,〈安らぎと結びつき〉その両方のシステムのバランスが健康的な生活を送るために欠かせない。つまり大昔から誰でもが知っている「親密な人間関係は,心身の健康によい」といったことが今,ようやく科学の力によって,生理学的にはどういうことかが解明され始めてきたというのである。
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