連載 分娩経過曲線のヒミツ・6
諸外国の研究報告のなかのフリードマン曲線
渡邊 浩子
1
,
高橋 由紀
2
,
立岡 弓子
3
1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
2名古屋大学大学院医学系研究科博士後期課程
3名古屋大学医学部保健学科
pp.552-559
発行日 2008年6月25日
Published Date 2008/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101243
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フリードマン曲線が作成された1950年代と現代をくらべると,現在の産科医療の現場では分娩監視装置や超音波ドップラー断層法などの技術が進歩し,科学技術をもって分娩進行状態や胎児の発育・健康状態を診断することが可能になりました。その結果,助産師や産科医師は,フリードマン曲線に頼ることなく,科学技術を用いて微弱陣痛,遷延分娩や分娩停止の診断をすることが可能になっています。このような背景からも,フリードマン曲線に関する意識が薄れ,フリードマン自身が意図した曲線の目的を曖昧に理解したまま,ときが過ぎていると感じます。
しかしながら,スキルを身につけた助産師にとっては,フリードマン曲線が「この分娩は何時くらいにはじまる」と出産時間を予測するだけの指標であってはいけないのではないでしょうか。助産診断の際に,「なぜ,曲線通りに分娩が進行しないのか?」「どんな異常が考えられるのか?」「この曲線は妥当なのだろうか?」と,新たな視点で曲線のもつ意味を問い直す必要があるのではないかと思います。
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