連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・51
目の前の患者を治したい
冨田 江里子
1
1St. Barnabas Maternity Clinic
pp.568-569
発行日 2008年6月25日
Published Date 2008/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101245
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憧れのお兄ちゃん
僕の家は8人兄弟。家はとっても貧しく,ご飯も毎日食べられない日が多い。お父さんもお母さんも他人の畑の仕事で忙しい。だから僕は何でもお兄ちゃんから教えてもらった。魚の捕り方,火の起こし方,木登り,なたの使い方もさ。お兄ちゃんがお父さんの手伝いをするように,僕も一緒に鶏を追いかけ,お米の落ち穂を拾った。何でもできるお兄ちゃんは僕にとって,憧れでかっこいい存在だった。
そのお兄ちゃんが病気をした。熱がしばらく続いてしばらくすると,お兄ちゃんは走れなくなっていた。胸が痛いんだって。何週間も外のハンモックにうずくまっている。お母さんがお金をためて病院へ連れて行った。そしたら「心臓がすごく大きくなっていて,手術しないといけない」って言われた。うちにそんなお金はないから,お兄ちゃんを抱っこしてクリニックへ運んだ。お母さんが病気で死にかけたとき,数日泊まったクリニックへ連れて行った。
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