Japanese
English
講座 神経変性疾患5
フリードライヒ病
Friedreich ataxia.
矢部 一郎
1
,
佐々木 秀直
1
Ichiro Yabe
1
,
Hidenao Sasaki
1
1北海道大学大学院医学研究科脳科学専攻神経病態学講座神経内科
1Department of Neurology, Hokkaido, University Graduate School of Medicine
キーワード:
フリードライヒ病
,
眼球運動失行
,
低アルブミン血症
,
早発型脊髄小脳変性症
,
α-Tocopherol転移蛋白
,
神経変性疾患
Keyword:
フリードライヒ病
,
眼球運動失行
,
低アルブミン血症
,
早発型脊髄小脳変性症
,
α-Tocopherol転移蛋白
,
神経変性疾患
pp.445-450
発行日 2003年5月10日
Published Date 2003/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100764
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はじめに
Friedreich病(FRDA)は常染色体劣性遺伝をきたす疾患で,欧米では頻度の高い運動失調症である.FRDAは他の脊髄小脳変性症より早く1870年代にその存在が提唱されており,イタリアではその有病率は1/22,000~1/25,000と報告されている一方,わが国では,稀な疾患とされている1-3).1989年,200床以上の病院を対象とした本邦における疫学調査では,脊髄小脳変性症全体では10万人あたり4.53人の有病率と推定されているが,そのうち,FRDAは2.4%を占めるのみとされる4).FRDAは1988年その遺伝子座が明らかとなり5),次いで1996年にfrataxin遺伝子と遺伝子異常が同定されるが6),その後,本邦でfrataxin異常が確認された症例の報告はなく,今まで本邦においてFRDAとして報告されていた脊髄小脳変性症はFRDAではなく,臨床症状がFRDAに類似した疾患であったと推定される7).
現在まで遺伝子異常や遺伝子座が確立しているFRDA類似疾患は数多く報告されているが,本総説では,FRDAおよび本邦で報告されているFRDA類似疾患として眼球運動失行と低アルブミン血症を伴う早発型脊髄小脳変性症,α-Tocopherol転移蛋白遺伝子変異によるFriedreich型運動失調症,Spinocerebellar ataxia,recessive,non-Friedreich type 1の各々につき,その臨床像,神経病理学的所見,分子遺伝学的特徴について述べる(表).
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