連載 分娩経過曲線のヒミツ・3
【フリードマン曲線は,なぜ当たらない?③】分娩開始の定義は曖昧だった
立岡 弓子
1
,
高橋 由紀
1
,
山口 香苗
1
,
大橋 幸美
2
1名古屋大学医学部保健学科看護学専攻
2名古屋大学大学院医学系研究科博士後期課程
pp.260-265
発行日 2008年3月25日
Published Date 2008/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101191
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第1回・第2回では,子宮頸管開大度を指標に,初産婦・経産婦を対象として分娩第1期経過曲線の作成を試みたフリードマンの論文を紹介しました。論文を読み進めていくうちに,半世紀以上も前に作成された分娩経過曲線が,いまもなお,分娩第1期の助産診断において分娩予測や経過予測の客観的指標として用いられていること,助産学教育において学生に教授されていることに疑問を感じました。
最も引っかかっている理由に,分娩開始の定義が曖昧であったことが挙げられます。1954年から1956年に発表された論文1-3)中には,「産婦が規則的な陣痛が来たと感じたときを分娩開始として捉えた」と書かれています。これはあくまでも産婦の自覚によるものであり,「規則的」という言葉には具体的に定められた時間的間隔がないのです。そこでわれわれは,“フリードマン曲線が当たらない”とする一番の根拠は,分娩開始の定義にあると着眼するに至りました。
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