特集 射水市民病院の人工呼吸器取り外し問題が提起したこと
患者が最良な選択をできるための支援―看護師の立場から
吉村 美樹
1
1大森赤十字病院
pp.789-792
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100367
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「人工呼吸器取り外し問題」が事件として新聞報道されたとき,少なからぬ衝撃を受けた。直後に幾人かの看護師や医師と,「驚きましたね。でも,難しいですよね」という会話を交わした。「倫理的に問題ですよね」という感想もある一方で,「でも,どうなんでしょうか?」という,問題にすることへの疑問もあった。
この問題を難しいと感じるのはなぜなのか,呼吸器を外すことについて,「どうなのか?」という疑問が残るのはなぜなのか。それは,医療の現場ですぐにでも起こりそうで,そのとき自分はどう対処するべきなのかという明確な答えを出せないことにあるのかもしれない。この問題が看護師を不安にさせるのは,1つには,人工呼吸器を取り外したことにより患者が死に至ってしまったということ,2つめに,短期間に数名の患者の人工呼吸器を取り外したということは,患者や家族の意思よりも医師の考えが大きく関与しているのではないかということ,3つめに,看護師は患者や家族から同意を得ることの難しさと限界を知っていること,そして,同様の状況に自分自身がおかれたときにどのように対処すべきなのか自信がないなどである。今回の問題について,善悪という考えでなく,看護師として考えていかなければならないことについて考えてみたい。
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