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無名の語り―保健師が「家族」に出会う12の物語
大田 えりか
1
1東京大学大学院
pp.223
発行日 2007年3月25日
Published Date 2007/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101016
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今,地域社会で「家族」に何が起こっているのだろうか。少子高齢化,核家族,虐待やネグレクト,家庭内暴力,精神疾患,引きこもり,アルコール依存症など,地域に暮らす人々の健康問題も複雑で,より深刻になってきている。地域社会の「家族」の問題は,助産師も理解を深めていかなければならない課題である。保健師の間で,最近話題になっている本を紹介したい。
本書では,自分たちの手で解決できなくなった経済,社会,教育など複合問題を抱え困窮する人々が,著者であり,保健師である宮本さんの前に相談者として現れる。その「無名の語り」との出会いから関係を構築し,ニードの明確化,必要に応じた毅然とした介入,隠蔽された問題を引き出す直感や手腕は卓越している。法律や制度など,社会資源をつないだネットワークの構築など,どんな困難にもあきらめずひたむきに悩みながらも奔走する著者の姿が描かれている。
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