特集 理想の分娩第1期のケア
何がタブー?分娩第1期の“禁忌”
濵地 祐子
1
1くつろか助産院
pp.787-793
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100817
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不適切な援助を受けた出産体験もトラウマとなり得る
「赤ちゃんは可愛いけど,お産は2度としたくない」という声を,残念ながら,たまに耳にする。これは「2度としたくない」と思うほど,心理的に大きな打撃を受けた経験,つまり,トラウマになるような出来事があったことを包含している。
では,トラウマになるような出産体験とは,どんな場合か,胎児ジストレスによって吸引分娩や緊急帝王切開術を余儀なくされた場合などが容易に想像できる。しかし,このような特別な事態に限らず,不適切な援助を受けた場合もトラウマになり得ることが明らかになってきている1~3)。Beck3)は,バース・トラウマ(Birth Trauma)*を経験した女性40人の体験記録をもとに,援助行為の不足(lack of caring approach)は,トラウマとなり得る出産体験の構成要素であると述べている。彼女の研究で明らかにされた援助行為不足の具体的な内容は,「1人ほうっておかれたと感じた経験」「(人としての)尊厳を奪われた経験」「かけがえのない1人としてみてもらえなかった経験」「安心感や支援を与えるような援助の不足」「産婦へのコミュニケーション不足」「医療者への信頼感が裏切られた経験」であった。
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