特集 学生が臨床で暴力に遭遇したとき
臨床で起きる暴力―タブーの壁を打ち破り論じよう
吉浜 文洋
1
1静岡県立大学短期大学部看護学科
pp.1050-1055
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100177
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
医療機関の安全,暴力被害防止は世界的な課題
2002年8月,カナダの司法精神医療関連施設見学研修に参加した。訪ねた一般病院を含む病院のほとんどの受付には,“We have a policy zero tolerance of staff abuse”と書かれたステッカーが張り出してあった。身体医療の領域を含む医療施設における患者の暴言・暴力は,薬物・アルコール依存患者の受診増加と関連しているとの説明があった。3年前,すでに薬物・アルコール問題が深刻な先進国の医療機関では,患者の暴言・暴力は,無視できない問題となっているのである注1)。
わが国でも,薬物押収量は増加している。2003年は,覚せい剤,大麻ともに前年比で増加し,錠剤型合成麻薬の押収量は過去最高であった。覚せい剤取締法違反による新受刑者は減少しておらず,2003年は6774人(新受刑者の21.6%),全受刑者に占める割合も24.8%に達している1)。犯罪,治安問題としての薬物乱用の問題に歯止めがかかる状況にはないようだ。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.