特集2 “触法患者”への看護ってどうあるべきなの?
➀【患者と“事件”を話し合う】→タブーを打ち破って初めて看護が始まった
熊地 美枝
1
,
宮本 真巳
2
1国立精神・神経センター武蔵病院
2東京医科歯科大学・大学院・保健衛生学研究科
pp.44-50
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100160
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多くの課題をそのままにしてきた現状
筆者の1人である熊地が、重大な触法行為で入院となった患者の看護について考える機会を得たのは、共同執筆者の宮本が担当する大学院のゼミでのことでした。触法精神障害者に対する処遇システムの不備や地域医療の不十分な現状、精神科医療のマンパワー不足など問題が山積しているなか*1で、個々の医療機関や医療者たちの個別的な努力によって治療や看護が提供されている現状が確認でき、そのことに引っ掛かりを感じるようになりました。もともと援助関係の形成というテーマに関心のあった熊地は、このような苦しい状況のなかで、いったい触法患者と看護師がどのように援助関係を形成し、どのように課題を共有しているのかが気になりました。
しかし、重大な触法行為で入院となった患者への看護に関する文献を調べてみても、国内ではその数も少なく、援助関係の実態については十分に明らかにされていませんでした。
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