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近年,理学療法士(PT)の養成校の数は,4年制大学31校,3年制短期大学6校,4年制専門学校56校,3年制専門学校69校と,急激に増加しています。この中で大学院の修士課程を併設しているのが6校,博士課程併設が8校あります。理学療法教育の質の向上には,大学院教育の充実が重要であると思います。すでに,理学療法士の養成は量から質の時代に入ったといえますが,規制緩和も影響してか,養成形態の異なる学校(とくに専門学校)がまだまだ増加する傾向にあります。実習施設の確保が困難を極める状況にありながら,臨床実習指導者の質の向上と確保につとめなければならないところです。そのためには,学校と実習施設間の意思の疎通を図り,相互の理解と強力な連携が要です。このような状況下の中で,養成形態の異なる複数の養成校から臨床実習を引き受けている病院の臨床実習指導者としての立場で私見を踏まえ理学療法士の臨床実習教育についての現状と課題を述べます。
当院では,現在,4年制大学から2校,3年制専門学校から1校,4年制専門学校から4校,あわせて7校から臨床実習の依頼を受けています。臨床実習は,だいたい短期実習(評価実習)と長期実習(総合臨床実習)にわかれています。学校によって異なりますが,短期は大体,2週間程度です。長期は1期が6~9週で,年間を通して2~3期あります。短期は見学や評価実習を行ない,長期には実際の患者を担当し,評価に始まり患者の問題点をとらえ,治療計画を立案し治療を遂行します。実習指導者は,逐次,実習の到達度目標に沿っているかをチェックします。認知レベルの問題解決能力だけでなく,挨拶ができるかなどの情意レベルの指導にも力を入れています。
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