連載 りれー随筆・230
生かされている自分を感じながら
髙橋 佳奈
1
1助産師(さいたま市)
pp.180-181
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100678
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ちょっとタイムスリップ
里帰り出産の方が自宅に戻ってからの相談先にと助産院マップを眺めていて,ある助産院の名前が目にとまった。宮城県南郷町。最近多発している地震の震源地にも近いその住所は母方の祖母の生まれ故郷でもある。間違いないのでは。思い切って,地震被災のお見舞いかたがた電話してみたところ,案の定,大先輩の活き活きした声。「今は離婚相談が多くて民法とかの勉強しているの」と近況を語ってくださった。
今なお現役として活動されている大崎さん。助産学生時代,彼女の講義を受けて話に感動した私と友人は夏休みに押しかけ,家庭訪問に同行させていただいた。私が学生時代の頃だから,20年以上も前から,思春期,中高年,その家族に至るまで,地域で暮らすあらゆる世代を対象に助産師活動を実践されていたことになる。その姿が私の助産師像となった。いずれは地域に出ようと目標をたて,病院・教育機関・助産院勤務を経て3年前に開業した。学生時代に目標となる先輩に巡り合えたこと,そして地域の中で活動したいと思った原点を久しぶりに思い出した。現在82歳。学ぶ姿勢を忘れず,地域で必要なことを考え,一歩先を行くバイタリティあふれるその姿に,あらためて近づきたいと思う。実習・講義で接する学生達に自分はどう映っているだろうか。
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